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産科医不足は一進一退

現在の産科医不足の背景を、わかりやすく解説します。どうして産科医は不足してしまったのでしょうか?出産方法の多様化や個性ある産院が増えている半面、いまだに産科医が増えない原因は1つではありません。

ハードな労働時間

産科医を志している人も沢山いるのですが、まだ産科医は少ない傾向にあります。理由は人それぞれですが、多く挙げられているのは労働環境と訴訟リスクです。

まず労働時間について説明します。どんな仕事でも責任を果たすために取り組むと、労働時間がオーバーすることはありますが、産科医も労働時間の予定スケジュールはあってないようなものです。

出産予定日に本当にお産が始まることよりも、予定日以外に陣痛や破水があることのほうが多いのではないでしょうか。だから産科は出産予定日だけスタンバイしていれば良いというわけではありません。

産科は母子のために、24時間体制で待機している必要があるのです。陣痛や破水があれば、当然のように時間に問わず産科に行きますが、これは産科が常にスタンバイしてくれているからだということを忘れないでください。

訴訟のリスク問題

どんな医療機関でも医師が訴えられる可能性は0ではない現状ですが、産科の訴訟リスクは高いと考えられています。

「母子に何らかの障害や生死に関わる事態がおこったときは、どんなに良い設備機器があっても過失と訴えられる」「訴えられる場合は母子2人から」と、産科ならではのマイナスな訴訟リスクの考えがあるようです。

どうして産科の訴訟リスクが高くなりがちなのでしょうか。それは出産年齢が20〜30代の女性が多く、その年齢から残された寿命を考えると訴訟額が大きくなるからです。赤ちゃんは母体以上に寿命が長いのですから、さらに訴訟額や責任問題がのしかかります。だから、産科医には体力だけではなく強い精神力が必要だとも言われています。

男性産科医が減少

以上2点を挙げましたが、肉体的にも精神的にもハードワークの産科医は男性が向いていると考えられていました。でも、女性にとってはお産で男子学生が研修立ち会いをするのは、ちょっと恥ずかしいし集中しにくいものです。患者側が男性産科医の育成に協力できていないことも否めません。

じゃあ女性の産科医が増えたら、産科医不足は解決だと思いますね。ところが女性産科医は、自身の出産・育児で産科医として働くことができない期間があります。

男性の産科医は減少傾向になるのに、女性の産科医は出産・育児で離職期間が発生する・・となると、産科医が足りない期間があるのは当然です。

このように、1つ1つは「それも仕方の無いこと」と思う理由だったりしますが、こうした理由1つ1つが重なって産科医不足が発生しています。

自治体によっては女性産科医の産後のサポート体制を確立して職場復帰を後押ししたりと、産科医側にもサポートをしていますが、全体的には未だ産科医不足が解消するまでに至りません。でも、このような産科医へのサポートは今後もっと必要とされるでしょう。

妊婦の検診離れ

妊婦検診妊娠中は定期健診にこまめに通うことで、母体の症状や赤ちゃんのトラブルを未然に防いだり、早期改善が期待できます。ところが最近は妊婦検診の回数を減らしたり、産科に通いたがらない妊婦さんもいるようです。

産科といえば思い浮かぶ内診台は恥ずかしいし、妊婦検診は病気ではないから保険がきかずに医療費がかかることも原因です。健康なら1回くらい飛ばしても大丈夫だろうと思ってしまうものです。

しかし妊婦検診を減らすことは、産科側だけでなく妊婦や赤ちゃんにとってもプラスではありません。内診の恥ずかしさや検診費用を抑えることができる反面、産科側への自分と赤ちゃんの医療情報まで減らしているのです。

妊婦の持病や妊娠中の状態、たとえば血圧が高めだったり糖が出ていることを妊婦検診で知ることができたら、妊婦はお産までに改善するなり対処できます。

産科側も、そのような状況を踏まえた出産態勢を準備できます。情報が少ないほど、母子の命を預かる側としては準備が足りなくなります。産科医はそのリスクを背負ったうえで、お産をサポートしなければいけないのです。

こまめに母体や赤ちゃんの状況を知らせることは妊婦や赤ちゃんにとっても、お産をサポートする産科にとってもプラスになることです。妊婦検診に行くことを迷っている人は是非、定期的に健診をうけることをおすすめします。

静岡県の産科医不足への対応

産科医が不足している昨今では、女性産科医に対してサポートをする制度を設ける自治体もあります。例えば、静岡県富士市の取り組みを紹介します。お産のできる医療機関の少なかった静岡県富士市は、2013年4月に新しい産科医院を開院するそうです。

この産科は、富士市が産科医療不足に対応する目的で、全国で初めて施行した「産婦人科医療施設整備助成金支給条例」の適用第1号だそうです。

これは助成金という形で、産婦人科を増やすことを後押ししている例ですが、地域で産科医不足を考えているから施行された条例なのだと思います。

条例の施行には期限が定められていますが、こうして産科や妊婦だけでなく、地域や社会全体で産科医不足を考える機会が増えていくことを願います。

参考:毎日新聞「産科医院:不足緩和へ 15日開院、富士市助成金が後押し/静岡市」

2013・4・13 e-妊娠、みみいペン


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