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着床障害

着床とは受精卵が子宮内膜に張り付くことをいいます。それは母体と赤ちゃんが結びついたことを指し、医学的にはこの時点で妊娠が成立したと定義されます。

着床障害とは、この着床段階に障害があることです。つまり受精が成立して子宮腔まで受精卵が移動するものの、正常に着床が起こらない状態を着床障害と呼びます。

着床までの過程は以下のイラストを参考にしてみてください。排卵された卵子と射精された精子が1つになることを受精といい、受精卵は細胞分裂を繰り返しながら子宮まで移動を始めます。

そして妊娠への最終段階、イラストでは右上の「胚の子宮内膜への着床」というあたりに問題があると「着床障害」となり、不妊原因になることがあるのです。(胚とは受精卵のこと)

着床

不妊治療ガイダンス第3版から改変引用

ではどうして着床障害が起こってしまうのでしょうか?

着床障害の原因にはいくつかありますが、まず1番の理由には「子宮内膜の状態が悪い」ということが言えます。子宮内膜には着床のために適した「厚さ」と「状態」があります。

子宮内膜はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用によって、月経開始から肥厚されていきます。そして妊娠が成立しないと月経(生理)となってきれいに剥がされるのです。

しかしホルモンの分泌、とくに黄体ホルモンの分泌が十分でないと、子宮内膜の厚さが着床するために足りなくなってしまうのです。具体的には子宮内膜の厚さが「6ミリ以下」では妊娠の継続が難しく、着床障害、あるいは黄体機能不全と診断されるでしょう。

子宮内膜の厚さは超音波診断によって調べることが出来ます。排卵から黄体期にかけて子宮内膜の厚さは、通常ですと8ミリ以上となるでしょう。

また子宮内膜は排卵前から変化を続けていて、黄体期中期(排卵から7日目ごろ)には「分泌期内膜(着床期内膜)」という状態になります。この分泌期内膜こそもっとも着床に適した状態なのですが、着床時期に発達が遅延してしまうことがあるのです。

つまり受精卵が着床するタイミングよりも、子宮内膜の発育(分化)が遅れているということです。子宮内膜の分化を調べる検査には「子宮内膜日付診」という、内膜組織を顕微鏡で調べる方法がありますが、最近ではホルモン検査が主流になりあまり行なわれていないようです。

着床障害は不妊原因の1つですが、他の不妊原因に比べると判断が難しいといえるでしょう。なぜなら排卵後に「受精が成立したかどうか」は調べることはできないし症状もありません。ましてや「着床しそうだった」など医師でも到底わかるものではありません。

そのため自分の子宮内膜の厚さで着床障害を心配される人が多いのですが、神経質になりすぎる人も多いようです。確かに着床障害は不妊の大きな原因ですが、それを先読みすることは決していいことではありません。

着床障害の治療とケア

着床障害はエストロゲンとプロゲステロンのホルモン分泌低下が1つの原因となりますので、「卵胞発育不全」や「黄体機能不全」と呼ばれる内分泌異常が関与しています。

そのためプロゲステロンやエストロゲンを補充することが着床障害の治療法となります。排卵から黄体期にかけてhCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)を注射したり、あるいは黄体ホルモン剤(デュファストン、ルトラールなど)を服用することで、プロゲステロンを補充して分泌期内膜への変化を期待します。

また卵胞期(排卵前の低温期)に卵がうまく発育しないと、エストロゲンが十分に分泌されずに子宮内膜は肥厚しません。そのため排卵誘発剤のクロミフェン(クロミッドなど)を服用することで、卵の発育を促して排卵後の黄体化を促進させます。

しかしクロミフェンには子宮内膜の増殖を妨げるという抗エストロゲンの副作用がありますので、この場合にはhMG注射に変更したり貼り薬(エストラダームなど)を使用することもあります。

着床障害のセルフケアではホルモンバランスを崩さないことが何より大切です。暴飲暴食、喫煙、睡眠不足、運動不足、極度なストレスなどには注意が必要になるでしょう。ザクロマカ葉酸、グレープフルーツ、豆乳などがいいとされますが、はっきりとした効果があるわけではありません。

着床障害のその他の原因には、免疫異常や接着因子、胚の形成過程、サイトカインなどが関与していますが、専門的になりますのでここでは省いておきます。

子宮因子の着床障害

子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮奇形などの子宮因子を持つと、着床障害を起こすこともあります。また繰り返し掻爬(そうは)手術を受けたり、STDなどが原因で炎症を起こしたていたり、あるいは子宮腔で癒着がある場合も着床障害を引き起こすことがあります。

これらの因子は病院で超音波診断やその他の検査を受けることで、見つけることが出来ます。この場合には手術でその因子を取り除くかどうかが最大の問題点となり、医師や夫婦でよく話し合う必要が出てくるでしょう。

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