PCOSと多毛症

多毛は女性の美容上で、たいへん深刻な問題となることがあります。特にPCOSにおいてはその症状が思春期から頻繁に現れ始め、その後も軽快に回復しにくいことが悩みの種となります。

PCOSでは、慢性的な男性ホルモンの高値により多毛を伴うことも多くなります。多毛とにきびの原因は、アンドロゲン(男性ホルモン)がそれぞれの毛嚢と皮脂腺に作用することです。

多毛の部位は手足に現れることが多いですが、PCOSでは下腹部や外陰部、顔面にも多毛が認められることがあります。しかし日本においては欧米婦人と比べるとその頻度は少ないという報告があります。


1.遺伝性
  1. 家族性多毛症
  2. 毛嚢のアンドロゲンに対する感受性過敏
  3. 思春期早発症
  4. 半陰陽
2.大脳皮質、視床下部
  1. 脳炎
  2. 多発性硬化症
  3. 内前頭骨過骨症
3.下垂体性
  1. 末端肥大症
  2. 多毛を伴う糖尿病
  3. クッシング病
  4. 高プロラクチン血症
4.甲状腺
  1. 若年性甲状腺機能低下
5.副腎皮質
  1. 副腎性器症候群
  2. クッシング症候群
6.卵巣
  1. 閉経
  2. 多嚢胞卵巣症候群
  3. 莢膜細胞増殖症
  4. 間質黄体化
  5. 間細胞増生
  6. 卵巣腫瘍
    • 間細胞腫
    • Luteoma 男性化細胞腫
    • 類副腎腫瘍
    • 混合性腫瘍
7.その他
  1. 薬剤投与
    • アンドロゲン
    • Dilantin
    • 合成プロゲステロン
    • Cortisone
  2. 妊娠
  3. 神経性食思不振症
  4. ストレス
  5. 局所刺激
  6. 特発性

*多毛症の原因/PCO症候群の診断と治療から

多毛の治療

多毛の治療法にはいくつかの種類がありますが、今1つ決め手となる治療法はありません。多毛の治療は数周期に渡りその症状にあった治療を根気よく続けていく必要がありますが、これはPCOSの症状を根本から抑制していこうとするものです。

経口避妊薬

エストロゲンとプロゲステロンの混合製剤である、経口避妊薬のドオルトンやプラノバール数ヶ月以上内服することで、LH分泌を抑制してアンドロゲン分泌を低下させることがあります。多毛の治療の第1選択で、同時に月経周期を整える意味もあります。

グルココルチコイド

副腎性アンドロゲンの過剰分泌を抑制する「グルココルチコイド」を服用することで、多毛の改善が認められることがあります。プレドニゾロン(プレドニン)を1日5mgずつ、2~3ヶ月連続で服用します。

スピロノラクトン

本来は高血圧の治療の用いられる薬ですが、副腎や卵巣のアンドロゲンの抑制などの抗アンドロゲン作用を有しています。スピロノラクトン(アルダクトンA)を6ヶ月以上内服します。

サイプロテロン・アセテート

黄体ホルモン誘導体のサイプロテロン・アセテートを、周期5日目から10日間投与します。同時にエストロゲン剤も使用することがあります。この治療を6ヶ月以上繰り返すことで、かなりの確率で多毛が改善するという報告があります。

GnRHアゴニスト

鼻スプレーの、ブセレリン(スプレキュア)を投与することで、LHの分泌低下させ卵巣性のアンドロゲンを減少させることがあります。投与スケジュールは3ヶ月~6ヶ月で期待ができます。

減量(ダイエット)

PCOSに限らずに、多毛は肥満と同時に症状が現れることがあります。多毛の最大の原因である男性ホルモンは、肥満中に出現する脂肪内にも蓄積されることが知られています。過剰な体重を減量することで、アンドロゲン(男性ホルモン)の過剰分泌を抑制します。

関連不妊用語

多嚢胞性卵巣症候群 男性ホルモン エストロゲン プロゲステロン LH(黄体化ホルモン) グルココルチコイド GnRHアゴニスト 卵巣



もっと見る→