卵管障害(卵管性不妊)

卵管

卵管は子宮の左右に1つずつあり長さは約10㎝、
直径は狭いところで1mm程度しかありません。この卵管が「詰まっている」「癒着している」状態を「卵管障害(卵管性不妊)」といい、受精卵が通れなくなり不妊の原因となります。

卵管障害は不妊症の30%とも言われていて近年増え続けている不妊原因です。卵管障害の問題は、「受精卵が移動できずに受精、着床が出来にくい」ということだけではなく受精卵が卵管に着床してしまう「子宮外妊娠」を引き起こす可能性が高いことです。

卵管障害の症状

自覚症状がないことも多いですが、色やにおいがついた「おりもの」が出たり、下腹部痛、発熱を起こすこともあります。卵管障害では、卵管は炎症を起こしたり癒着(ゆちゃく)をしてることが多いのですが、自分では気づかないことが多く「卵管造影検査(卵管の通りを調べる検査)」で始めて分かる人が多いようです。

卵管障害の原因

近年とくに増え続けているのが、「クラミジア感染症」による卵管性不妊です。クラミジア感染症は最も頻繁に見られる性感染症(STD)で、子宮頸管炎から子宮内膜炎、そして卵管炎と徐々に被害が広がっていきます。

  • 膣内の炎症が卵管へ移行
  • 腹腔内の虫垂炎などの炎症が卵管へ移行
  • 細菌感染
  • STD(クラミジア、トリコモナス、淋病など)
  • 子宮内膜症
  • おなかの手術後の癒着

卵管性不妊症は先進諸国で36%程度であるのに対して、アフリカ諸国などでは85%にのぼるというデータがあります。卵管性不妊症のリスク要因は、STD、複数のパートナー、若年化、人種差、社会経済、避妊手段の有無などが関係しています。

卵管障害の検査方法

最も一般的に行なわれている検査は「子宮卵管造影」というもので、子宮の中に造影剤を注入することで、子宮腔~卵管~腹腔内の通気性を調べます。子宮卵管造影の体験談はこちら

  • 子宮卵管造影検査
  • 卵管通気検査
  • 卵管通水検査
  • 腹腔鏡検査

卵管障害の治療法

まず卵管が通っているかを調べることが第1段階となります。上記の子宮卵管造影などの通気性を調べる検査は、卵管のつまりを改善させることがあります。(簡単なつまりや癒着は造影剤が流れる影響で治ることがある)

しかし子宮卵管造影をしても癒着が取れないとき、あるいは改善されない場合には、第2段階として卵管の手術か体外受精が効果的な治療になります。

腹腔鏡手術

おなかに1センチ(5ミリ)程度の穴を3つ程あけて、そこから腹腔鏡を見ながら手術します。(卵管采が閉じている、癒着がひどい、詰まりが卵巣(卵管末端部)に近い)

卵管鏡下卵管形成術

先端が広がるバルーンカテーテルを膣内から卵管まで挿入して、卵管の癒着を直接取る手術です。(症状が軽い、術後に一定期間の観察が可能の場合)

卵管の病変と術式の関係

卵管采周囲癒着卵管采癒着剥離術
卵管留水腫卵管開口術
卵管峡部閉鎖卵管端々吻合術
卵管間質部閉鎖卵管移植

体外受精

卵管を使わずに直接採卵し体外で受精させ、子宮に戻します。一般治療では妊娠をあきらめるしかなかったケースでも体外受精により妊娠が可能になりました。

卵管障害の治療法のメリットとデメリット

卵管の手術が「卵管の治療だけ」に行われるものに対し(その後にも治療を続けることが多い)、体外受精は高い確率で直接妊娠を期待できます。

しかし卵管形成術は2人目3人目を望んだ場合に、自然妊娠を期待できるメリットもあります。また卵管形成術の費用は保険が利き自己負担10万円前後に対して、体外受精の場合は保険がきかず1回につき約40万円の自己負担となります。

体外受精データ

3回反復すると3回以内に42、7%、6回反復すると6回以内に85、3%前後が妊娠するというデータがあります。またその後の分娩率を比べると、体外受精が72、3%に対して卵管形成術は27、3%だったというデータがあります。*参考 不妊治療ガイダンス第3版